清風 34

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 良太が怪我をして静養していた時に何日か滞在したが、それ以後は会社関係でみんなと一緒に来たことがある。
 まあ、初めて、の時は、今夜のように強引にここに連れてこられたのだが。何だか、二人きりだと、いかにも怪しすぎるではないか。
 それこそ、社長と愛人の密会、とか?
「腹が減ったろう。遠慮なく食っていいぞ」
 工藤は上着をソファの背に放って、タイを緩める。
 部屋はエアコンが効いていて暖かい。窓の外は雪が降り始めたようだ。
 テーブルの上には、平造が用意した食事がまだ湯気をたてていた。ローストチキンの塊、ソーセージやハム、サラダ、スープといったものに、パンとチーズが添えてある。
「ってより、一体、何で急にこんなとこ」
 納得がいかない良太は、思わず声を荒げる。
「シャワー、先にするか」
 クールに見えて、工藤の口調もやはり穏やかならざるものがある。
「冗談じゃないですよ、どうして俺が、その小笠原のやろうのとばっちりをうけなきゃならないんですか! アッタマくる!」
「頭にくるのはお前だ」
 煙草に火をつけた工藤が静かに言った。
「へ……? 俺? 俺が一体何したってんです?」
 良太はちょっとたじろぐ。
 とりあえず今現在、工藤の怒りを買うような心当たりはない。
「千雪のことなんか、いつまでもぐだぐだ引き摺るようなことか」


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