清風 35

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 良太はギクッとする。話はいきなり核心をついてきた。
「何の関わりもないのに、お前にけんか腰でこられる千雪には、いい迷惑だろう」
 途端、良太の中で、何かがキレる音がした。
 何を怒っているかと思ったら、そういうことか!
 結局、千雪さんのことが大事なんだじゃないかよ。
「ああ、わかりましたよ。金輪際、千雪さんには不愉快な思いをさせるようなことはいたしません! 失礼します!」
 良太は踵を返して、部屋から出て行こうとする。
「どこ行くんだ?」
「帰るんです! まだ、電車動いてるし」
 いきなり工藤の腕に肩を掴まれ、力任せに引き戻された良太は、ソファに倒れこむ。
「何、すんですか! ナータンのご飯もあげてないし、帰る……!」
 喚いて暴れてもものともせず、工藤はその体を押さえつけた。
「やめろっつってんだろ! あんたなんかのことも金輪際、忘れてやる!」
「うるさいやつだな」
「離せよっ! バカやろ! いやだって……ば…っ」
 ぐっと工藤の手のひらが中心を掴むと、暴れる良太の動きが鈍る。
「しばらくかまってやってないから、たまってるんだろ」
「る……っせぇ…、あんたなんかに……!」
「欲しいんじゃないのか?」


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