清風 38

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 耳まで赤くなった良太は必死で喚く。
「ほんとは千雪さんのこと、愛してるくせに!」
「好きでもないやつを、仕事放り出して、わざわざこんなところまでつれてきて、可愛がってやったりしないぞ、俺は」
「ふざけんなよ! 可愛がってってなんだよ、言うにことかいて!」
 良太は唇を噛む。
「…人が真剣にゆってんのに!」
「俺も真剣なつもりだが」
「どこが真剣だよ! 人、バカにして……あの人があの京助を好きだとしても、だからってあんたの心が急に変わるはずないだろう……」
 半泣きで良太は訴える。
「そうだと言えば、気が済むのか? お前は」
 ビクッと良太の体が震える。
「実は千雪を愛しているのだと?」
 そんな言葉は聞きたくない!
 良太は耳を塞ぎたくなる。
「それで俺から離れられるわけか? お前は」
 唇をかみ締めながら拳を握る良太は、切なさと憤りが混じった目で工藤を睨みつける。
「俺を好きなくせに」
 思わずカッとなって、良太は立ち上がるが、工藤がその腕を引っぱった。バランスを崩して膝の上に倒れる良太の顎を掴み、乱暴に上向かせる。
「いい加減にしろ、バカやろう!」


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