清風 4

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 小笠原は元バンドマンの父親が所属していたその会社で学生の頃からモデルとして活躍していたが、仕事や金銭面一切をその社長に任せていた。売れない役者が二、三人いるだけで、会社自体はほぼ小笠原に依存していた。
 その社長は多額の借金を抱えていたらしく、金はすべてそちらに流れたのだという。
 自分のほとんど全財産を使い込まれた小笠原本人は、「マネージメントも、自分でやるっきゃないっすかね」などと、マイクを向けられてもあっさりしたものだ。
 だが、そこで浮上したのが、青山プロダクション移籍説だ。どこから流れたのかわからないが、話は事実で、実は工藤の元同僚でディレクターの下柳が、工藤に打診してきたのだ。
 小笠原を欲しいというプロダクションはいろいろあったようだが、疑心暗鬼になって選べない、と、小笠原は飲み仲間の下柳にもらした。それで、下柳が青山プロダクションを持ち出したというわけだ。
 工藤も直接小笠原と会ったが、工藤の背後にある、暴力団中山組組長の甥という出生の事情もとっくに知っていたらしく、怯むことなく、お願いします、と頭を下げる。
 年末に工藤は小笠原を引き受けることを承諾したが、それによって良太も俄かに忙しくなった。工藤や自分の企画書のほかに彼の仕事の引継ぎ書類なども急ピッチでやらなくてはならない。
 青山プロダクションは、志村嘉人、中川アスカ、南沢奈々と、三人のタレントを抱えているが、当分は小笠原のマネージメントも志村のマネージャーでベテランの小杉に兼任してもらうことになっている。


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