清風 40

back  next  top  Novels


 

 仕方なく、良太を離すと、工藤は立ち上がって携帯を手に取った。
『どういうことだよ! 撮りが終わってみたら、あんた、帰ったって言うし、大体、何べんかけても、でないしよ!』
 案の定、小笠原からだった。
「俺がいなくても、仕事はできるだろう。ぽっと出の新人じゃあるまいし」
 良太は、『仕事を放り出して』と工藤が言っていたのを、はっと思い出す。
 え、まさか、工藤さん……
「ああ、わかった。忙しいから切るぞ」
 工藤は今度は電源まで切ってしまう。
「工藤さん、ひょっとして、小笠原さん、放り出してきたんですか」
「ああ、お前と違って、やつなら、ほっといても死にやしないさ」
「どうせ、俺は、一人じゃ何もできませんよ!」
 工藤は笑い、むくれる良太の肩を抱くと、再び二人してベッドに倒れこむ。
「信じなくてもいいが、俺はお前を大事にしてるんだぞ」
「ちぇ、やっぱりうまく丸め込まれてる気がする」
 色を帯びた妖しい光を見せて、工藤の目が良太を見下ろしている。
「じゃあ、丸め込まれとけ」
 唇が重なり、次第に深くなるキスに、工藤とつながりたいと、体の奥のほうから熱くなっていくのを、良太には止めることもできない。
「こらえ性のないやつだな」
「…っ! あんたのせいだろ……」
 揶揄いながら、言い返す良太をまたいじめてかわいがってやろうと、オヤジ根性そのままに、良太の体に手をのばした。


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ