清風 42

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     ひょっとして、鈴木さんが、と思って聞いてみても、知らないという。
     何とも解せないその事実が、ずっと引っかかっていたのだ。
     今日はさし当たって急ぎの仕事もない。小笠原に同行する予定になっていたが、結局工藤がそっちは引き受けてくれた。工藤の方も変更可能なスケジュールではあったけれど。
     そのくらい当然だよ! あの、エロオヤジ!
     夕べはメチャクチャやりやがって、人のこと!
     雑念に占領されて、仕事が手につかないでいると、電話が鳴った。
    「はい、青山プロダクション…え、あ、涼? 俺、広瀬です。悪い、電話もらってたんだっけ」
     すると、涼が、
    『こちらこそ、夕べは勝手に部屋に入らせてもらって、ごめん』
    「え…………」
     どういうことだろう。
    「って、ナータンの世話してくれたのって、じゃあ、涼?」
    『いや、ちょっとした罪滅ぼしのつもり。工藤さんに、良太の部屋の鍵借りたんだ』
    「罪滅ぼしって…………」
    『俺、知らなくてさ、俺がしゃべり過ぎたことで二人の間がぎくしゃくしたら、って焦って、工藤さんに話したんだよ。そしたら、一晩猫の世話してくれれば、ちゃらにするってさ』


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