花の宴 10

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 息子の影響で結構野球好きな鈴木さんも、まあそう、とニコニコ笑っている。
「高校球児かぁ、青春だなー」
「肇さんが主将でキャッチャー、かおりさんがマネージャー? 何、何、そこで恋はなかったの?」
「っふふ、良太くんの元カノ、でーす!」
 かおりが宣言する。
「うおおおお、それで、それで?」
「これは複雑なことになってきたんじゃないの、良太ちゃん!」
 俊一が良太をからかう。
「あらぁ、良太ちゃんの元カノ、だって、高広、どうすんの?」
 こちらも面白がってひとみが工藤の横でケタケタ笑う。
 言葉を返すのもうっとおしくて、工藤は渋い顔でグラスを空ける。
「えっと、こんばんは」
 ひょい、とドア口で声がすると、「ユキ、遅かったじゃない!」とアスカが嬉しそうに出迎える。
 思わず良太が振り返ると、そこには千雪といつもながら仏頂面の京助が立っていた。
「お邪魔さんです、工藤さん」
「お前まできたのか、京助」
 千雪が声をかけると、工藤は京助に言った。
「お招きにあずかって。そこのワガママ女のたっての要望で」
「京助なんか呼んでないわよーだ」
 ずけずけと皮肉る京助に、アスカが言い返す。
「おお、そうか、じゃ、パイは小夜子のとこでも持ってくか」
「え、だめぇ、これはいただくわ」
 アスカはすばやく京助と千雪が各々手に掲げている丸い包みを取り上げる。
「京助のパイは美味しいのよ、あ、こっちはキッシュで、こっちは、きゃあ、イチゴのタルトだ」


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