花の宴 11

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 テーブルで袋から皿ごと取り出しながら声を上げるアスカの横から、俊一が千雪に、「うっす」と声をかける。
「おう……」と返す千雪だが、メンツを見回して少々戸惑っている。
 というのも、内輪だというので、いつものメンバーと思ったのだが、仕事では挨拶をしたことがあるが、プライベートでは顔を会わせていない二人、下柳とひとみがいたからだ。
 自分の持ってきた焼酎を俊一のグラスにとくとくと注いでいる下柳は何も気づいていないようだが、入ってきた途端、ひとみと真っ向から目が合ってしまった。
 しかも、正確にはひとみと一度、実は会ったことがあるのだ。
 それを彼女が覚えていないことを願いながら、アスカからワインを受け取る。
「会社の花見にしちゃ、えらくいいワインあけてるじゃねーか」
「一言多いのよ、京助は。ワインなんて、わかるの?」
「コルトン・シャルルマーニュ」
「あら、ワイン仲間がここにひとり」
 ボソッと言った京助を振り返って、ひとみが言った。
「いや、兄貴がワインとか酒詳しいんで」
「あら、あなただって、高広よりはマシよ、京助さん?」
「綾小路京助です」
 すると、ふっとひとみの表情が一瞬硬くなった。
「綾小路さん? すると、こちらは?」
 ひとみは真っ直ぐ千雪を見据えた。
「小林千雪だ。もう会ってるだろ」
 横から口を挟んだのは工藤だ。
「あらら………、びっくり。お世話になっておりますわね、センセ」
「はあ、こちらこそ」
 千雪は苦笑いで会釈する。
「ユキぃ、ちょっときて、手伝ってぇ」
 おそらくひとみに睨まれえている千雪に助け舟を出したのだろう、アスカが呼んだ。


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