花の宴 13

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 さっそくひとみが痛くもない腹をつつく。
「何がだ」
「前に紹介された時は、こんなに似合わない名前はないと思ったけど、ふたを開けてみればあーんな超美少年」
「何が少年だ、T大の先生だぞ」
「ごまかさないでよ。私が忘れたと思ってるの? で、良太ちゃんは知ってるの?」
「何をだ」
 工藤が煙草をくわえた時、良太がパイを載せた皿をひとみに持ってきた。
「チョー美味いですよ、イチゴパイ、京助さんが焼いたそうですよ」
「あら、ほんと、美味しそう」
「見かけによらずですよねー、パイ焼ける人には見えないもんな」
 感心する良太にひとみが笑う。
「ほーんと、仏頂面でも高広よりはマシよねー、なーんにもできないもんねー、高広」
「いやあ、俺も何にもできないですよ」
「あら、良太ちゃんはいいのよー、作ってあげるって人はいっぱいいるわよ」
 ハハハと二人で笑う。
「元カノ、どうなの? ヤケボックイに火をつけちゃえば?」
 わざとらしく、工藤に聞こえるようにひとみが言った。
「ちょ、やだなー、そんなこと……」
「んもう、良太ちゃんってば、健気なんだから」
 バン、とひとみは良太の背中を叩く。
「ひとみさん、もうできあがっちゃったんですか?」
 隅っこで、真中や俊一とひっそり飲んでいた須永がひとみを気遣う。
「驚いたね、いつものメガネとか、あれ、名探偵の変装?」


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