花の宴 16

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 アスカはちょいちょいと手招きする。
「何やね?」
「実はね、沢村くん、良太にご執心みたいよ、私の見るところ」
 アスカは千雪に耳打ちする。
「はあ? 面白がってんな、アスカさん」
「だーって、面白いもーん」
 何やら色々な思惑が入り混じった花の宴も、日が変わろうという頃には工藤からお開きの合図があった。
「もうこの辺にしておけよ」
 カラオケや音楽で騒いだわけではないが、傍には大きなマンションもある。
 後片づけは明日でということで、最後までつきあった鈴木さんと良太、それに真中らでボトルやゴミと食器を集めて中に運ぶ。
「そういえば、随分前にもお会いしたわね」
 いきなり隣に立ったひとみに囁かれて千雪はやはり覚えていたかと思う。
「そうでしたか?」
「良太は知ってるのかしら?」
「知ってますよ……良太は気にしてるみたいやから、俺のことなんか心配せんかてええて言うてるんですけど。俺も良太は可愛いですからね」
「あらそ?」
「千雪、とっとと帰るぞ」
 ひとみの言葉を遮るように、宴の中でひとり、人の思惑などに何の興味もなかった男が千雪を呼んだ。
「ほな、うるさいやつが呼んでますよって」
 京助のあとを慌てて追う千雪を見て、ひとみはあら、と思う。
「ねえ、アスカ、あの二人って……」


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