花の宴 6

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 携帯を取り戻そうとする良太の手を押し戻して、「ああ、会社の裏庭、無礼講だからどうぞ」と勝手に切ってしまう。
「アスカさ~ん、勝手にもう、酔ってるな~」
「いいじゃない、お友達でしょ?」
「いや、でもなーーー」
 ちらっと工藤を見る。
「他にもまだくるから、平気よ、一人や二人増えたって」
「そういう問題じゃ……」
 沢村とのことですったもんだあったのは昨年暮れのことだが、良太としてはあまり工藤と沢村に面と向って会ってほしくないところなのだ。
「どうしたんだ?」
 工藤が声をかける。
「え、いや、沢村が……花見しようって……」
 仕方なく正直に話す。
「フン、お友達なら呼べばいいだろう」
 その言い方に、良太は少々カチンとくる。
「もう、勝手に呼んじゃいましたよ、アスカさんが」
「何、沢村って関西タイガースの? 今日はジャイアンツ戦でホームラン打ったな」
 秋山が口を挟む。
「ええ、3号打ったら花見しようって、もううるさくって」
「そりゃ、祝杯あげないと」
「秋山さん……面白がってるし」
 良太は恨みがましい目で秋山を見やる。
 昨年末、良太が沢村の会社に引き抜かれる云々のすったもんだは、会社中のみんなが知るところだ。
「まあ、いいじゃない、もう済んだことだし、良太の友達なんだから」
 秋山は笑う。
 その時、ドアが開いた。
 もう来たのか、と良太が振り返ると下柳がよう、と手を挙げた。
「何だ、お前らまで」
 工藤は益々眉間の皺を深める。


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