花の宴 8

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「工藤さん、桜、嫌いなんですか? こんなきれいなのに」
 何気なく聞こえた台詞が気になって、傍に立っていた良太が口を挟む。
「そうよねー、聞いてあげて、高広ってば、昔話のセンチメンタリズムが趣味なのよ」
 工藤が何か言いかけた時、「じゃ、工藤さん、私そろそろ失礼します」と奈々がぺこりと会釈する。
「送ってきます」
 奈々の後ろにいた谷川が奈々を伴って開いたままの玄関フロアへのドアをくぐる。
「谷川ちゃん、ちゃんと、戻っておいでよ、谷川ちゃんの分、とっておくからぁ」
 谷川の背中にアスカが声をかける。
「元デカさんも、アスカにかかっちゃかたなしだな」
 俊一が呟く。
「だって、谷川ちゃんってば、絶対飲まないのよ、運転するからって」
「それが当り前なんだ」
 秋山がアスカをたしなめる。
「あの人、堅いよなー、あんま笑わねーし」
 次、日本酒行こう、と俊一と競い合っている小笠原が言った。
「あ、やっぱここだ、来たぞ~良太」
 良太が顔を上げると、一際大きな男がドアの向こうから現れた。
「うお、沢村じゃん」
「ああ、良太、オトモダチ、だったっけ」
 小笠原と俊一が口々に言う。
「あ、どーもー、工藤さん、お言葉に甘えまして、お邪魔します」
「こんばんは」
「ども、お邪魔します」
 上機嫌でやってきた沢村の後ろから顔を出したのは、かおりと肇だ。
「あれ、お前らも一緒?」
 良太は驚いた。


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