みんな、はっぴぃ!1

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  ACT 1
 
 
 午後から予定していたカップラーメンのCF撮影が、クライアントの会社役員が急に亡くなったために延期になった。
 スタジオでその連絡を受け取った藤堂義行は制作会社の担当者やタレントに連絡を入れて、延期になった撮影の打ち合わせのアポをとり、そのまま会社には戻らず、自宅へ足を向けた。
 今日は、世の中クリスマスイブである。
 ホワイトクリスマスにはならないくせに、街はビル風が舞い、ひどく寒い。
「悠ちゃん、飾りつけはまかせろとかいってたが、大丈夫かな。夢中になるとものも食べないでやるからな、あのコは。何か食べ物を買っていってやらねば」
 まあ、せっかく空いた時間、何かしらの理由をつけて悠の顔を見たいだけなのだが。
 藤堂は最近一緒に暮らし始めた若い恋人の顔を思い浮かべてニマニマ。
 ここのところどうしても顔が崩れがちだ。
 クリスマスパーティを藤堂の新居でやることになったので、忙しい藤堂の代わりに彼の恋人、悠がツリーや部屋の飾りつけをかってでた。
 実は、母親が熱心なクリスチャンであるせいで、藤堂家にとってクリスマスは厳粛な行事である。
 恋人たちのためのイベントでも、飲んで騒ぐ口実のためのイベントでもなく、キリストの誕生を祝い、家族そろってホームパーティをする。
 それは今も昔も変わっていない。
 もちろん子供たちにとっては、キリストの誕生を祝うよりは、どちらかというとサンタにお願いしていたプレゼントをもらえる待ちに待った日だ。
 ツリーを飾り、ケーキや美味しいご馳走を食べ、わくわくしながら枕もとに靴下を置いて眠る。
 残念ながら、小学生に入る頃にはもう、藤堂にはサンタが架空の人物で父親が扮装をしてプレゼントを子供たちに配って回るのだということはわかってしまった。
 だが、聡明な、そして厳しくしつけられた長兄やガキ大将な次兄の行動を見て育った三男坊の彼は、外見上本当に信じている振りをして両親を喜ばせる術を心得ていた。
 また藤堂はボランティアに専念している母親と一緒に施設をまわったりしたことで、おじいさんやおばあさん、或いは親がいなかったり、親と離れて暮らさざるを得ない子供たちにプレゼントを配ると、どんな笑顔が返ってくるか、それを見ることの方がプレゼントを自分がもらうことよりずっと嬉しいのだと、いつ頃からか思うようになった。
 それが、気前よく周りの人間に思いつく限りのプレゼントをしてしまう、『サンタ藤堂』発祥の要因だったのだろう。
 がしかし。
 今年もクリスマスパーティを企画していた藤堂は、パーティ会場は昨年同様、ちゃっかり広い河崎の家を予定していたのだ。
「それをあのやろう!」


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