プレゼント探しに移ろうという頃、河崎がやってきた。
悠はこの男が気に食わない。何度か顔を合わせるたび、悠にちょっかいをかけてくるのだ。
『なんだ、お前、まだいたのか』とか『まだ就職もきまらねーのか』とか、痛いところをついてくる。
『今、探してんだよ!』とは言うものの、今のところまだ決まらないままだ。
藤堂は、そんなことは考えなくてもいいから絵を描け、と言うが、そういうわけに行かないのは重々わかっているのだ。
とりあえず、金持ちにもかかわらず、河崎が朝から晩まで時間を惜しむように仕事をしているのは事実で。
それは認めてやってもいい。
だが、未だに藤堂を呼びつけてああしろこうしろ、というのは悠としては許せないのだ。
「いっちょ前に酒なんか飲んで、ガキが」
「っせーな! 酒なんか、ずっとちっちぇー昔っからたしなんでんだよ!」
案の定、悠を見つけると、河崎がニヤニヤ近づいてくる。
「煙草バカスカ吸いやがって、早死にしてーんだな、オッサン!」
河崎はわざと悠に煙を吐きかけると、吸いかけの煙草をポケット灰皿を出してしまう。
「ゴホ……! テメー、覚えてろよっ!」
「ガキの遠吠えだな」
河崎はグラスのシャンパンを飲みながら、フン、とせせら笑う。
「ちょ、河崎さん! また悠のこといじめてる!」
浩輔が二人のようすを見咎めてやってくる。
「大人のたしなみを教えてやってたんだ」
「河崎さんの方が子供みたいですよ」
河崎は眉をしかめ、グラスに手近にあったワインを注いだ。