みんな、はっぴぃ!2

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 まんまと大きなもみの木を発注して藤堂の新居に届けさせたのは長年の悪友、河崎だ。
 しかも河崎家に保管されていた、昨年使った飾り付け用のクリスマスアイテムも箱ごと送りつけられた。
「いつもは細かいことなんかにてんで気がつかないくせに小細工しやがって!」
 だがそれもこれも、悠さえいれば、という気にもなるというものだ。
 可愛い恋人のために、昼には弁当を売っている近所の小料理屋で、二人分のなかなか豪勢な弁当を買うと、藤堂はいそいそと自宅のあるマンションに入っていった。
 
 
 
「あ、ども! お邪魔してます!」
 悠の顔を見て和もう、なんて思っていた藤堂だが、気配を感じて飛んできたアイちゃんのあとから彼を迎えたのは髭面の高津だった。
 ゲラゲラ笑い声が聞こえるから、よもや、とは思っていたが、悠が同じ東京美大の飯倉クラスに席を置く高津と二人、楽しげにツリーの飾り付けをしている場に出くわし、藤堂は戸惑いがちに、よしよし、とアイちゃんの頭を撫でる。
「やあ、いらっしゃい! ちょっと忘れ物をしてね。あ、これ、差し入れ」
 本当は悠と二人で食べるつもりだったのだが。
「わお! 腹ペコで、どうしようって言ってたとこ。あ、『錦や』の仕出し弁当だ!」
 喜んで藤堂から弁当の入った袋を受け取る悠を見ると、藤堂の顔も思わずほころぶ。
 以前、悠を連れて行った時、悠は祖父母が店をやっていたことを話して女将さんにすっかり気に入られ、それからちょくちょく二人で顔を出しているのだ。
「ここの女将さん、なんかうちのばあちゃんに似ててさ。歳とかはてんで違うんだけど。魚の煮つけとかうまいんだぜー」
 得意げに高津に話す悠も可愛い、などと藤堂は思ってしまう。
「あとで悦子もくるっていうし、準備は俺ら、きっちりやりますから!」
「おお、あの美人もきてくれるのか? それは鬼にカナボーってとこ? アーティストの競演かぁ。期待しているよ」
 とりあえず高津の台詞にのってみせ、藤堂は内心ため息をつきつつ、忘れ物をしたと言った手前、自分の部屋であるメインベッドルームに入っていく。
 この時期に新居を購入するつもりはさらさらなかった藤堂だが、つい二ヵ月ほど前、気に入っていた前のマンションが火事になり、新しい部屋を探さざるを得なくなってしまった。
 藤堂の部屋が燃えたわけではないが、水浸しの上異様な臭いが染みつき、家具や衣類も使えたものではなかった。
 ちょうどペットOKの豪華マンションが近所に新築中だったのを思い出し、藤堂は冷やかし気分で見に行ってみた。
 もはやどの部屋も埋まっているだろうと思っていたのだが、なんと一番高額なペントハウスが空いているという。
 沓脱のない外国人向けのその部屋は、入居するはずだったフランス人の中年夫婦が、夫のパリ転勤でキャンセルしたらしい。


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