みんな、はっぴぃ!4

back  next  top  Novels


 
 
 
  ACT 2
 
 
「どうしたんだよ、ハル」
 悠の箸が止まったままなのに高津は気づいて悠を見る。
「別に!」
 悠はそう言い返すと一気に弁当を食べ終えて、高津が入れてくれたお茶をがぶっと飲む。
「……ちっ!!!」
 飲み込んだものの、熱さに口の中がちょっとしたやけど状態でヒリヒリする。
「ばっか! 大丈夫か? だから熱いって言っただろ」
 慌ててシンクに飛んでいき、蛇口から直に水をゴクゴク飲んだ悠は、少し落ち着いた。
「ったく、何やってんだか」
「……っせーよ」
「どうしたんだよ、急にご機嫌斜めじゃん、ハル」
 むすっとしたまま、悠は飾りつけにまたとりかかる。
「よう、何なんだ? お前、すぐ顔に出るからな。藤堂が行っちゃったから、面白くないんだろ?」
「んなんじゃねーよ!」
「じゃ、何だよ? この経験豊富な頼もしい高津様に話してみろって」
 弁当を食べ終え、後片付けをしながら、高津はからかうように聞いてくる。
「……あのやろう。美人とか見るとホイホイ喜びやがって」
「ああ?」
「長谷川美香とか、中川アスカとか、南沢奈々とか!」
「お前そりゃ、タレントとは仕事上付き合うだろうし、あの人の仕事から考えて、美人じゃなくてもいい顔しなくちゃいけないこともあるさ。周りには女優やモデルやらわんさかいるんだ」
「悦子のこととかも気に入ってるんだ。それに『ジャストエージェンシー』とかって会社の直子って女にもでれでれしやがって」
 取引先の女の子だけではなく、男でも広瀬良太などにはメチャ親しげで、結局自分もそのうちの一人でしかないのだろう、と悠は思ってしまうのだ。
 以前からそんなことが頭の中に渦巻き、ついつい高津にもらしてしまう。
「ハル……。あのなあ、向こうは大人だし、男だから美人も好きだろうさ。第一、こうやって一緒に暮らしているお前とは比べることはできねーだろ?」
「……そんなの……」
「お前さ、本気でつきあったことないだろ? 今まで。終わっちまうことだっていくらもある。俺なんか、お前、たった、はち、く、じゅう、じゅういち、じゅうに………五ヵ月だぞぉ!!! うう、友美のやつぅ、合コンで見つけただとぉ? 商社マンが何だ!! チクショー!」
 高津が恋人に振られ、クリスマスデートの予定だったレストランもキャンセルした、と悠に泣きついてきたのは先週のことだ。
 イブに高津がこんなところでこんなことをしているのはそういう理由からだった。
 指折り数えながらいつの間にか自分のことに話が摩り替わっている。
 ちなみに悦子の場合、地方に赴任中の彼氏が東京に戻ってくるのは年末になるらしく、イブに一人でいるなんて寂しい、ということで、高津からこのパーティの話を聞いてやってくるらしい。
 億ション、というものに興味津々なのももちろん、ある。
「金に目がくらみやがって! 向こうはスイートを取ってくれたのよ、だと? スイートなんかくそくらえ! バカヤロー!」
 また振られた彼女のことを思い出して高津は吼えまくる。
「うっせー、高津」


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ

ようこそ、お立ち寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です。