みんな、はっぴぃ!9

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「あ、それじゃあ、また。行きますか、藤堂さん」
 良太はちょっと相手に頭を下げ、慌てるように藤堂を急かして、その場を去ろうとした。
「せっかくだから、彼もお誘いしようよ、良太ちゃん」
「え、いや、あの…」
「失礼、確か、小林さん、とおっしゃいましたよね? 『PLUG‐IN』の藤堂と申します。先だってはちゃんとお話できませんでしたが、鴻池さんが、次の映画にあなたをというようなことを言ってらしたが、どこのプロダクションに所属されているんですか?」
 すかさず藤堂が名刺を差し出すと、小林は成り行きで名刺を受け取ったものの、ちょっと困惑気味だ。
「藤堂さん、違いますよ、小林さんはタレントとか俳優とかじゃないし、どこのプロダクションにも所属してませんよ。それ、鴻池さんの一方的な思い込みですって」
 代わりに良太が必死で言い張る。
「彼も忙しいんだし、これ以上引き止めても……」
「だって、さっき、時間が空いたって、ゆってましたよね? 別にたいしたものじゃないんですよ、私のうちでホームパーティをするんです。どうですか? ご一緒に」
 にこにこ。
 藤堂の必殺技だ。
 大概、この笑顔に翻弄されて、相手は篭絡させられるのだが。
「それやったら、俺みたいな部外者が顔出したら、しらけるんやないですか?」
 きりりとした瞳は揺るがない。
 氷の美貌ってこのことだな。
「だから、藤堂さん、そんな無理強いしても…」
 良太はどうやら小林を連れて行きたくないらしい、というか、どうもこの小林のことを自分に隠そうとしているフシがある、と藤堂はわかっている。
「藤堂さーん、どうかしたんですかぁ?」
 浩輔も何やらもめているらしいのを見てとり、車を降りてやってくる。
「いや、パーティにお誘いしてるんだよ。こちらは小林さん。うちの会社のデザイナーの西口浩輔です」
「あ、どーもー。よかったら、ぜひ。変なパーティじゃないんですよ、ケーキとか美味しいもの食べて、みんなでプレゼント交換したり、サンタが出現してプレゼントをくれたりするんです」
 裏も表もない、浩輔ののほほんとした言葉に、小林はちょっと微笑んだ。
「へえ、幼稚園のクリスマスみたいな?」
「そうそう。子供に帰れるって感じ?」
「面白そやな、ほな、行ってみよかな。けど、プレゼントないし、どないしょ」
「ちょ……ち………! こ、小林さん!」


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