好きだから 183

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 怒鳴りつけたものの仕方なく冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出してキャップを取ってベッドに転がっている沢村に差し出した。
「ほら、飲め!」
 沢村は手だけ伸ばしてボトルを掴むと、むくりと身体を起こしてごくごくと飲んだ。
「なんだよ、酒じゃねーじゃん!」
 あらかた飲んでから、沢村は文句を言う。
「酒なんかもう十分飲んだだろーが」
 沢村は良太の言葉にフンと笑い、ミネラルウォーターを飲み干した。
「くっそ、せっかくの酔いが覚めちまったじゃねーか」
 忌々し気に沢村はボトルをゴミ箱に放った。
「良太、ここ」
 気が付いたようにコートを脱ぐと、沢村はベッドに腰を下ろしたまま、隣をポンポンと叩く。
「あのな、俺は明日も朝から仕事なの!」
 冷蔵庫からミネラルウォーターを取ってきて、良太は沢村の隣に座ると、キャップを開けて飲んだ。
「俺はこれまで挫折とかの経験がほとんどない」
「っ! 自慢かよ!!!」
「野球では勝とうが負けようがマスコミにクソミソに叩かれようがへでもない」
 ボソリと沢村は言った。
「へー、そうすか、どうせおれは勝ち負けに一喜一憂してたさ」
「女なんか勝手に寄ってきたけど、考えてみれば俺自身、まともに付き合ってたことなんか、なかった。学生ン時もプロになってからも」
「俺だってロクに付き合ったことなんかないし。だーから、今更俺にそんな自慢話して何が面白い!」
 良太はイラついて、沢村に突っかかる。

 


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