好きだから 186

back  next  top  Novels


「オヤジさん、ダチの会社の連帯保証人になってただけだろ?」
「ああ、そん中に質の悪いとこの債権もあったりして」
「逃げたダチは?」
「さあ? 知らない。いや、だからさ、たかだか百年に満たない人生ン中でも何が起こるかわからないってこと。肇のやつは高校ん時から好きだったかおりちゃんとついに結婚にこぎつけたし。まるで無縁の世界の人間と出会うとかさ、俺と工藤なんか。お前だって家族のことはおいといて、プロに入って、順当に行けば、よくあるタレントか女子アナか、ひょっとしてほんとにアスカさんとかと知り合ったりして結婚してたかも知れないじゃん。でも、お前が出会ったのは佐々木さん。何か不思議だよな」
 沢村は拳を握りしめた。
 改めてそう言われると、佐々木への想いで目頭が熱くなる。
「佐々木さんにもう会えないんなら、地球なんかなくなっちまえばいいんだ!」
「…………ガキか」
 わかるけど。
 まあ、アラサーっつったって、中身なんか、こいつだってリトルリーグン時とかわりゃしない。
良太はまた一つ溜息をついて立ち上がった。
「あのさ、しばらくお前、心の赴くまま過ごしてみれば? 無理やり自主トレやって、また怪我なんかした日には目も当てられねー」
 沢村はリュックを背負い直している良太の腕を掴んだ。
「帰るな」
「猫が待ってんだよ」
「明日車で送ってやる」

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ