好きだから 188

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ACT 15

朝から冷たい霧雨が東京の街を覆っていた。
青山プロダクションオフィスでは、鈴木女史が一人、週末に控えた関連業者を招待しての忘年会を前に、出欠の確認から当日のバイトやお土産の手配などの準備に追われていた。
責任者は良太だが、自分の仕事であちこち飛び回っていて、細かい準備などは鈴木女史に任されていた。
「あら、おはようございます」
鈴木さんは手を止めて、珍しく早い時間に顔をのぞかせたアスカににっこりとほほ笑んだ。
「おはようございます。今日、良太は?」
しかも秋山連れでなく一人である。
「ああ、昨夜、ご学友と忘年会で飲み過ぎて、ちょっと遅れるそうよ。まあ、ここのところ良太ちゃん、動き詰めだったし、午後からにしたらって言ったんだけど。ほら、沢村さんもご一緒だったみたいよ」
「そう。じゃ、待ってるわ」
アスカは窓際のソファに座って携帯を取り出した。
「どうぞ」
目の前にコーヒーが置かれると、ありがとう、とアスカはぼそりと言った。
「アスカさんもお疲れのようね」
いつにもなく元気のないアスカを見て鈴木さんは心配顔を向けた。
「うん、まあね」
曖昧にごまかしたアスカにそれ以上尋ねることもなく、鈴木さんは自分のデスクに戻った。


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