恋ってウソだろ?!3

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 久しぶりに浩輔に会ったせいだ。
 仕事とはいえ、相変わらずのほほんとした浩輔を見てやっぱり可愛いななどと思い、打ち合わせが終わって浩輔と別れてからだ、精神状態が急降下した。
 そんな佐々木にあの男が声をかけてきた。
「そうや、妙に酔っ払ってしもて、部屋で飲みなおそういうから、つい………」
 シャンパンやらブランデーやら飲んで、悪酔いしたことに気づいて、シャワーを借りた、ことまでは覚えている。
 何だか妙にあの男とゲラゲラ笑ってたような気がするが、何がそんなにおかしかったんだか、何を話してたんだか思い出せない……。
 それから……何がどうなって、ああなったのか。
 ………この鈍痛は…しっかりやられましたってことだろ……?
 一生の不覚ってこのことか? 高校大学と男と寝たことがないわけじゃないが、今更バックをやられるとは。
 佐々木は自分を笑い、だる重い身体をようやく起こすと、シャワーでも浴びて会社に行こうと、バスルームに向かった。
 湯を止めてから、ふと、鏡の中の自分を見た佐々木はぎょっとする。
 首の付け根にくっきりと残る痕に、思わず赤面してしまう。
「あいつ……えろ、情熱家やってんな………ちゃんとゴム使こて、案外紳士やったみたいや思てたら……」
 そういえば自分を見下ろしていたということは、かなり大きな男だったに違いない。
「あんな部屋……実業家? IT長者とか? それにしちゃ、ええ身体しとったな……」
 思い出すといつの間にか身体が熱を帯びてきて、佐々木は慌てて水で顔をばしゃばしゃと洗う。
 それに、かなりええ男やったような……
 顔もうろ覚えだが、何かメチャ気持ちよくて、ふわふわと温かくて、ひどく幸せなひと時だったような気がする。
「バッカじゃねーの! いい年して、酔っ払って、知らない相手にやられちゃいましたなんて、どの面下げて言えるかっての」
 思わず呟いたものの、どちらかというと悪くない夜だった、かも知れない。
 とはいえハロウィンの夜、一夜だけのトリッキー・ナイト。
 この際、やられたことは置いといて、お互い名前も知らない相手とちょっと楽しんで。
 夢から覚めれば、いつもの日常に戻るだけ。
 もう会うこともない。
 ――――――――そう、思っていたのだが………。


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