好きなのに 106

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 朝は大抵この二人が作っていた。
 和洋取り混ぜて、スープや味噌汁、温野菜も混じったサラダも必ずあった。
 得て不得手はあるし、みんなでリビングのセッティングや片付けをしたり、風呂掃除をしたり、まさに合宿という感じだが、やはり一番大変なのは厨房の仕事だろう。
 食洗機があっても大量の食器だし、洗って片付けるだけでも時間がかかる。
 ましてや朝はいないが平造にせよ京助や研二にせよ作るものが半端ではないから、佐々木は彼らを手伝うだけだったが、なかなか面白かった。
「ちょっとした茶懐石、やってみたくて修行中なんですよ」
 凝った椀盛りをしているなと思って聞いてみたら、研二はそんなことを言った。
「こんな合宿じゃ懐石なんざもったいないが、そのうち研二を使ってうちで茶懐石やるとか小夜子が言ってたぞ。また佐々木さん借り出されるんじゃないか」
「ええ…?」
 佐々木はちょっとげんなりである。
「それはええですけど、おかあちゃんがなぁ、そういうのハンパないから」
「あんたの母親、見てるとうちのババア思い出すよ」
「は?」
 佐々木は京助をまじまじと見つめる。
「俺の祖母。やっぱり古い家の出で、しきたりだの何だのやたら口うるさい女傑でさ。特に俺はガキの頃から怒鳴られっぱなしだった。そうすると逆に怒らせるようなことしたくなるんだよな」
 あいつはガキの頃からずっとジャイアンなんや、などと千雪が京助のことを話していたことを思い出して、佐々木はふっと笑う。


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