好きなのに 107

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 佐々木がこの別荘に来た翌朝ついでに作った特性のフレンチトーストはかなりな人気で、今日も京助に作ってくれと言われ、壁にひっかけてあるエプロンを一つ取ってつけると、佐々木は卵を割り始めた。
 朝、目が覚めると五時前だった。
 今起きれば朝食の準備に間に合うだろうと佐々木はベッドを降り、だる重い身体を引き摺ってバスルームに行き、バスタブに湯を張った。
 しばらく湯に浸かっていると、沢村も起きだしてバスルームに入ってきた。
「朝めし作りに行かなあかんから」
 沢村にそう言うと、沢村はわかった、とシャワーを浴びはじめた。
「何時に?」
 コックを捻って湯を止めた沢村がそう聞くので、六時ぐらいと佐々木は答えた。
 結局、被害を被ったのは良太だ。
 沢村が朝六時に携帯で良太を叩き起こし、門や玄関を開けさせたからだ。
 しかも門が開くのを待っている時、沢村は無防備な佐々木に不意打ちに濃厚なキスをして、佐々木に睨まれながら、身体を動かしてくると言ってまた自分の別荘へ戻って行った。
 全く! 朝っぱらからあんなキス! しかも……
「やっぱ、戻らないか? やりたりない!」
「年寄りをいたわらんか! アホ!」
 つい、その頭をペシッと叩いてやったのは言うまでもない。
 正味二時間も眠ったろうか、沢村のタフさ加減に佐々木の身体はガタガタで、風呂に浸かって何とかここまで辿り着き、意地で厨房に立っていたようなものだ。


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