好きなのに 109

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 何ではたかれたかわからない浩輔の抗議の目も無視して、直子はすました顔で食事を始める。
「おはよう」
 向かいに座ったのは藤堂である。
「おはようございます」
「佐々木さん、今日帰るんだっけ? 沢村と?」
「………お世話になりました」
 にこにこ笑いながらさらりと聞いてくる藤堂に佐々木は苦笑した。
 ぼんやりコーヒーを飲んでいた良太のズボンのポケットで携帯が鳴った。
「ああ? ったく! しょうがねぇな!」
 携帯を切るなり玄関に向かった良太は間もなく沢村を伴って戻ってきた。
「おはようございます」
 涼しい顔で現れた沢村は良太の横に陣取ると、残ったものを全部平らげそうな勢いで卵焼きもスープもパンも持ってきて健啖振りを発揮した。
「あ、沢村っち、遅かったから、佐々木さん特性のフレンチトースト、アウトだったね」
 からかい半分の直子に、一瞬、えっと自分の皿を睨みつけた沢村だが、すぐ気を取り直した。
「いいよ、また作ってもらうから」
 しゃあしゃあと口にした沢村を佐々木はギリギリと睨みつけた。


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