好きなのに 110

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 またそういうことを平然と口にするな!
「佐々木さん、出るのは午後イチだから、ひと滑りできるよな。コーチ、頼みますね」
 佐々木の心の声もおかまいなく、沢村はにっこりと言ってのけた。
 夕べの今朝で今更かとは思うものの、酔っ払い相手と素面な面々では話が違うだろう。
 ムッとしたまま席を立った佐々木は厨房の方に行こうとしたが、「片付けは私たちやりますから」と悦子に声をかけられた。
「ほら、高津! ハルちゃん、行くわよ!」
「わーかったよ」
 まだ食べていた高津は悦子に背中を叩かれて、コーヒーを飲みながら立ち上がった。
「あ、俺も手伝ってこよ」
 浩輔も立ち上がる。
「佐々木さん、向こうでコーヒーいかがです? 直ちゃんも。」
「あ、はい」
「はーい」
「持ってきますから、座っててください」
 藤堂に誘われ、良太と何やらコソコソ話しながらまだ食べている沢村を放ってリビングのソファへ移動した。
「あ、おはようございます」
 半分眠ったような顔で研二に伴われて階段を降りてきたのは千雪だった。
「おはようございます」
 もう八時半ギリギリである。
「俺、コーヒーだけでええよ」
「パンくらい食っておけ」


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