好きなのに 111

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 ぼんやり座っている千雪の前に、研二がサラダとパン、コーヒーを持ってきて置いた。
 藤堂と入れ違えにダイニングに向かう千雪と研二を見ながら、直子が言った。
「仲いいよね、ってか、研二さん、千雪さんにすんごく優しいし」
「幼馴染や言うてたやろ」
「うん、研二さんて子供さん二人いるんだって。三田村さんが言ってた。んでもってバツイチ」
「へえ、お仲間やん」
「だったら理香さんも。前のダンナって、アメリカの富豪だったみたい。セレブな有閑マダムっていう感じ」
 そんな風にここにいる面子に自分と沢村のことが知れ渡ってしまっているのだろうことが、佐々木は心配になる。
「どうぞ」
 藤堂が佐々木と直子の前にコーヒーを置いた。
「ありがとうございます」
「ありがとう、わ、クッキー付」
 ご機嫌な直子の隣で、佐々木は少し憂鬱そうな顔を隠せなかった。
「どうかしましたか?」
「え……いや……」
「佐々木ちゃん、心配しなくても大丈夫。何か、あの辺の人たち、古いつきあいみたいで、京助さんと千雪さんのことだって、もうずーっと前から公認みたいだし。だから、沢村っちが何言ってもぜーんぜん平気だって」


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