好きなのに 112

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 まるで佐々木の心の中を覗いたかのように断言する直子に、佐々木は苦笑せざるを得ない。
「これ、美味しい!」
「京助さんが焼いたらしいよ。まだ、たくさんあった」
「ほんと? じゃ、もう少しもらってこよっと」
 パタパタと直子がダイニングに向かうのを佐々木はぼんやり見つめる。
「アンニュイで艶っぽい美人を前にしたらヨロメキたくなるやつがいても不思議じゃないよね。植山はしょうもないやつだが、気持ちはわからないでもない」
 いきなりそんなことを言われて、佐々木はちょっと顔を赤らめる。
「なんですか、それ……」
「浩輔ちゃんはほんと、素直で正直だからねぇ」
 藤堂は意味深ににっこり。
「いやまあ、沢村くんがキャンプ中にもかかわらず、飛んできたくなるのもわかるっていうか」
「キャンプ中は会わんて言うたのに、あいつ……」
「まあ、球団によって色々違うけど、関西タイガースはプロなんだからと、おかしな締め付けをしないで選手を尊重しているから、そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
「はあ、直ちゃんもそんなこと言うてたけど」
 やがて何か言い争いながらやってきた沢村と良太は、ちょうど帰り支度をして降りてきたかおりや肇を送り出した。
「おう、今度また飲もうぜ」
 商店街をぶらついて土産を買ってから帰るのだと仲良く二人は別荘を出ていった。


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