好きなのに 116

back  next  top  Novels


 佐々木が微笑むと、良太はほんの少し顔を赤らめて目をそらす。
「良太ちゃん、一緒に帰らんでええのんか? あいつ勝手なこと言うてたけど、俺の車全然、余裕やし」
「とんでもない!」
 良太はちょっと声を大にして言った。
「良太はまだ手が離せないことがあるんだってよ」
 佐々木の後ろから階段を降りてきた沢村が言った。
「あっ、そうそう、俺、千雪さんと、その、打ち合わせがあって……」
 そんなものあるわけないだろ! と心の中で良太が沢村を怒鳴りつけていたのは言うまでもない。

 

 三人で入ったのは、ステーキの店である。
「俺のおごりだからガッツリ食えよ、良太」
 寝ていただけの佐々木は軽めのコースを選んだが、二人はステーキをそれこそ小気味よくガッツリ食べている。
「ゲレンデで藤堂さんや浩輔さんと、三田村さんや研二さんらと会ったんですけど、俺は藤堂さんらとゆっくり、沢村は研二さんらと目一杯滑ってました」
 ひとしきり食べ終えると、良太が今日のスキーの話をした。
「でも、こんだけみっちりスキーやったのなんて初めてですよ、俺。ほんと、合宿ですよねぇ」
「お前、あれで少しは上達したわけ?」
「うるさいな、お前らと比べるな、お前らと。スキーなんて、会社入ってほとんど初心者で行ったのが初めてだったんだからな」
「そういえば、直ちゃんらともロッジで会った」
 コーヒーを飲みながら沢村が言った。


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ