好きなのに 119

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 佐々木は良太が気にしていたのなら、悪かったなと思う。
「ちぇ、それだけかよ。もちょっと気にしてくれてもいいだろ?」
「お前が振られた相手が良太ちゃんだってことか?」
 気にしないわけはないのだが、佐々木としてはやっぱりちょっと取り繕ってしまう。
「良太に聞いてた?」
「んなこと、聞くわけないやろ? けど、ガキの頃からの付き合いでって言えば何となくわかるやろ」
「まあ、振られたってより、横恋慕? あの時はマジに良太をアメリカ連れて行くとか思ってたし。何せ、相手が相手だから、あいつ、遊ばれてるだけじゃないのかとか思ってたしな」
 佐々木は初めて聞く話に、言葉がなくなる。
「良太のことが好きだったのは事実だし、あんたとは意味は違うけど好きなのは変わりないし」
 沢村は強い口調で断言する。
「相手が相手って……良太ちゃん、そんな大変な相手なのか?」
 佐々木は疑問に思っていたことを口にした。
「え、直ちゃんとかに聞いてない?」
「いや……直ちゃんは知ってるわけ?」
「あのオヤジだよ、良太はすりこみ状態で、いいようにあしらわれてるんじゃないかって、邪推してたんだよ。何しろあの人、バックグラウンドも普通じゃないしな。けど、俺の思い過ごしみたいでさ、結構、良太のこと大事にしてるみたいで」
「待てよ、オヤジってまさか……」
「工藤だよ」
 まさかだった。


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