好きなのに 12

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 相変わらずサングラスとニット帽のままの沢村と二人つり革につかまっていると、やはり周りにジロジロと見られている。
 それでも沢村と知れることはなく、JAL利用の第一ビル前で二人はホームに降り立った。
「ほな、ここで」
「え、見送り来てくれないわけ?」
 沢村は振り返った。
「これ以上はあかん」
「わかった。気をつけて。次は……」
「キャンプが終わるまで会わんからな」
 佐々木が言い放つと、行きかけた沢村は戻ってきて佐々木の前に立つ。
「冗談だろ」
「もう、こんな、綱渡りみたいなマネするんなら、もう二度と会わんからな」
 沢村はサングラスを外した。
「アホ、何やって……」
 慌てる佐々木に、沢村は「いやだ。会ってくれなけりゃここでキスするぞ」と駄々こねのように言う。
「脅したかて聞かん。そないなことしたら、ほんまに終わりや。早よ、行き!」
 ムッとした表情のまま、沢村は佐々木を見つめた。
「また連絡する」
 仕方なくそう言い置くと、沢村は歩き出した。


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