好きなのに 126

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 ギャラリーのスタッフはそれこそ友香がとんでもないことを言い出す前に、てきぱきと手続きをしてしまいたいようだ。
「構いません」
「それでは、お届け先とご都合のいい期日をお願いいたします」
 沢村はスタッフが持ってきた書類に箱根の住所を書いた。
「一度ご連絡を差し上げてから、お伺いいたしますので」
「よろしくお願いします」
 ちょうど手続きを終えた頃、客が入ってきた。
「佐々木さん、そろそろ行こう」
 沢村に促されて佐々木も立ち上がった。
「じゃあね、周ちゃん。ありがとう」
 友香は微笑みながらひらひらと手を振った。
「頑張れよ、トモちゃん」
 ドアを開けようとした時、「あの、お客様」とスタッフが沢村に言った。
「恐れ入ります、ご連絡を入れます時、ご都合のいい時間などございますか?」
 沢村は戻ってきて少し考え、「午前中にお願いします」と答えると、すぐに出て行こうとした。
「あの、沢村さん」
 今度は友香に声をかけられて、沢村は振り返った。
「ありがとうございました。周ちゃんのこと、よろしくお願いします」
 ぺこりと友香は頭を下げた。
「わかりました」
 沢村はそう答えると階段を降りて、佐々木に追いついた。
「まだ四時前か」


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