好きなのに 128

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 だが、車を降りた沢村は助手席のドアを開けて佐々木の腕を引いてエレベーターへと向かう。
「お前、ええ加減にせぇよ……」
 他の客が乗ってくると、大っぴらに文句も言えなくなる。
 沢村は自分の部屋のあるフロアでエレベーターを降りると、佐々木の腕を掴んだまま部屋を開け、そのまま寝室へ直行する。
「ちょっと待てて……」
 佐々木の言葉など無視して沢村はベッドに押し倒す。
「俺の心はすんげぇ狭いからさ……あんな仲よさそうなとこ見せつけられると、ダメ……あんたを好きなのは俺なんだぜ……」
 佐々木が何か言おうとすると、乱暴なキスで遮ってしまう。
 そのまま佐々木の服を剥ぎ取ると、有無を言わせず佐々木を抱き始めた。

 

「ゴメン、今夜はここに停まっていきなよ。俺、タクシーで行くからさ」
 すっかり身支度を整えた沢村はぐったりと目を閉じたままの佐々木の顔を覗きこんだ。
 佐々木はゆっくりと目を開けた。
「ほんまに、アホやな、トモ……」
 沢村は佐々木の首に手を伸ばした。
「どうせ俺はアホだよ」
 指で佐々木の顎の辺りをさすりながら、沢村は言った。
「やから……俺はトモが好きやのに………でなきゃ、こんな身勝手なやつとっくにぶん殴ってるわ……」
 沢村は佐々木を抱きしめてキスした。
「もうあかんで! 時間、間に合わんようになる!」
 せっつかれながらもまだ名残惜しげに沢村は部屋を出て行った。


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