好きなのに 13

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 佐々木は沢村がエスカレーターを上がるまで、ホームに立ちすくんでいたが、エスカレータで上がった沢村が一瞬振り向き、また歩き始めたのを確認すると、自分もエスカレーターに乗ってホームの反対側へと向かった。
 沢村は佐々木の頑固さに頭にきていたが、佐々木に会えないなんて考えたくはなかった。
 球界に入ってから女子アナと付き合ったことはあったが、常に自分にイニシアチブがあったし、向こうが会いたいなどと言ってきても、キャンプ中なんか会えるか、で終わっていた。
 結局、半年ほどで別れたが、後を引くこともなかったし、思い出すことさえない。
 こんなに誰かに夢中になったことはなかった。
 だが確かに、これで成績を落とすようなことがあったら、佐々木のことだ、本気で別れると言いかねない。
 少なくともそれだけは嫌だし、成績を落とすつもりもない。
 でもな、一ヵ月会えないなんて、ほんと、冗談じゃない。
 好きなんだぜ? 俺、めちゃ、あんたのこと………。
 はあっと大きく溜息をついて、沢村は機に乗り込んだ。


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