好きなのに 14

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    ACT 2

東京都心でも朝方は雪になった。
佐々木がオフィスに顔を出す頃にはもう解けていたが、寒さは半端ではない。
ダウンジャケットにマフラーをグルグル巻きにして少し早めに着いたつもりだったが、既に直子が来ていて、オフィスは温かかった。
「おはようございます!」
花を生けた花瓶をリビングのテーブルに持っていって飾りながら、直子は笑顔を見せた。
「おはよう」
ポールハンガーにコートとマフラーをかけ、佐々木が自分のデスクでパソコンを立ち上げると、「はい、コーヒー」と直子がデスクにコーヒーの入ったマグカップを置いた。
「ありがと」
直子が自分のデスクに戻るのを見計らって、佐々木は声をかけた。
「直ちゃん、週末、ごめんね、迷惑かけて」
直子は「佐々木ちゃんが謝ることないよ」と佐々木を振り返った。
「悪いのはあいつじゃん。佐々木ちゃんは被害者なんだから」
「被害者って………、いや、俺ももちょっと確かめてれば……」
「あの場合、無理だよ。……って、もうあいつのことはやめよ! 思い出しても腹が立つ!」
直子はお陰で家に帰ってからも、母親から心配しただの、連絡くらいいれなさいだの、嫁入り前の娘がいきなり外泊なんてだの、散々文句を言われたことまでまたぶり返して、思わず拳を握る。
「それよか、沢村さんも怒ってたよね。せっかく佐々木ちゃんと会える貴重な時間をあんなヤツに邪魔されて!」
佐々木は昨日の沢村とのことが一気に蘇って思わずうっと言葉に詰まる。


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