好きなのに 16

back  next  top  Novels


 
 直子は一人うなずきながら続ける。
「それに大物は、恋人に左右されるとかないのよ。特に沢村ってクレバーだから、しっかり切り替えてるよ、オンとオフ」
 佐々木は直子の弁舌を、頬杖をついて拝聴していた。
「はあ、クレバーねぇ………」
 思わず口にしてしまったのは、昨日の沢村の子供じみた行動や言動があるからだ。
 最初会った頃は随分落ち着いた大人と思ったし、マスコミにはクールな対応をしているようだが、なるほど使い分けてボロを出さないようにしているんだろう。
 確かに、練習に入ればスイッチが入るのかもしれないが。
 箱根でも時間があればトレーニングしていたし。
 だが、独り立ちして何となく佐々木にも迷いがあったあの頃、何だか問題を抱えているようなことを口にしてもいた。
 それはきっと外野が口を挟めるものではないのだろう。
 もちろん、俺が聞いたところでどうかなるもんでもないやろけど。
 ああ、良太ちゃんには話しているかもしれないな。
「ねぇ、佐々木ちゃんってば」
「えっ?」
 佐々木は直子を振り返る。
 うっわ、俺、今、めちゃアホなことでグルグルしてなかったか?
「沢村っちがこっちに来させるのが心配なら、佐々木ちゃんが行けばいいじゃん、宮崎」
「ええ?」
「そうよ、それがいいって。選手は恋人とか家族とか向こうに呼んだりするのよ」


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ