好きなのに 17

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しばし、佐々木は直子を見つめ、ようやく我に返ったように、ふうと一つ溜息をつく。
「わかった。もう、俺のことはこのくらいにしよ。仕事、しよ」
佐々木が画面に顔を向けると、「ええ? 絶対そうした方がいいのに」とブツブツ言いながら、直子も自分の席に戻った。
直ちゃん相手に、女子高生もどきの恋愛談義かい……ほんま、我ながら情けない。
やっぱり、トモが一番いい状態で動けるような環境にいることが必要やろ。
結果、俺が邪魔することになってしもたらあかん。
とりあえずキャンプが終わるまでは連絡もしない方がいいだろうと、佐々木は思うのだが、考えてみればシーズンが始まれば、キャンプどころの騒ぎではない。
うーん、プロ野球の選手なんて、帰れば愛情たっぷりの手料理で出迎えてくれる奥さんってのがええんちゃう?
この先のことを考えると、どうにも答えが出ないラビリンスだった。

 

 仕事は順調だった。
 懸念していた植山とのCFの仕事も、例の事件以後はスムースに進み、撮影で佐々木が顔を出しても、植山は人が変わったようにきっちり仕事をした。
「珍しい! 植山、リテイクなしって」
 共演のアスカが思わず口にする。


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