好きなのに 22

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 沢村は言い訳をする。
「とにかく、週末は綾小路さんとこへスキーに誘われてる。プラグインのみんなや直ちゃんと行くことになってるし」
「スキー? どこへ? 綾小路? って、小林千雪の相方の京助?」
「相方て、漫才やあるまいし、大和屋さんとこの着物ショーの時、いたやろ?」
「ああ、小林千雪と案内係やってたやつだろ? 仏頂面の」
 そう言われて佐々木は、首を傾げる。
「小林千雪って、あの小説家のやろ? いたか?」
「その京助と一緒に案内やってただろ。……あ、ひょっとしてまだ、あいつと面識なかった? なんか、眼鏡かけないと別人だぜ? 前に一度、青山プロの花見で会ったことあって」
 佐々木は合点した。
「ああ、あのえろ、きれいな人、小夜子さんの従弟っていうてたし、原ってネームつけてたから、ほな、本名が原いうんか」
「ああ、いや、それはどうでもいいけど……」
 沢村は佐々木のちょっと外れた答えに、あらためて佐々木の世間知らずを認識する。
「どこ行くって?」
「綾小路さんの別荘や言うてた」
 また沢村が行くと言い出すのではないかと、佐々木は言葉を濁す。
「それに、トモちゃんの個展にも行かなあかんし」
 一瞬沢村が黙り込む。
「………トモちゃんて、あんたの元奥さんの?」
「スペインから帰ってきてて、案内来たんや。会期が終わる前にいっぺん行かんとな」
「あんたを振った相手だろ?! 何で行くんだ?! 俺に会いたくないくせに昔の奥さんには会いに行くわけ?」
「それとこれとは別やろ! いつ、俺が会いたくないとか言うた?! それにトモちゃんとはもう何年も会うてへんし……」


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