好きなのに 27

back  next  top  Novels


 その頃、直子はプラグインの藤堂から電話をもらっていた。
「佐々木さん、何かあった?」
「え、やっぱり? 藤堂ちゃんも、変だと思った?」
 さすが、鋭い、と直子は感心しながら、佐々木が朝から時々ぼんやりしていて、プラグインとの打ち合わせも忘れるところだったのだと言った。
「佐々木ちゃんの場合、仕事で悩むってことはないから、沢村っちのことでしょ。新たな植山モドキが現れたんじゃなければ」
「うーん、スキーツアーは、参加するって言ってたけど、直ちゃんと一緒に」
「それ! ほんとは宮崎、行けばって言ったのに、佐々木ちゃん、キャンプ終わるまでは会わないって」
 直子は心配そうに藤堂に訴える。
「なるほど、わかっちゃった、それで佐々木さん、沢村と言い争いにでもなったんだろ。会いたいって言う沢村に、頑固にダメだしして。で、 明日、森野友香さんの個展に行くんだって? 二人で」
「うん。私も佐々木ちゃんを振るってどんな人か興味深々。私が会社入って間もなく、佐々木ちゃん離婚したし、友香さんと面識ないんだ」
「実は悠ちゃんが森野さんの絵のファンで、行きたいっていうから、会場で合流しよう」
「わかった!」
 しばらくして佐々木がオフィスに戻ってきた。
「おかえりなさい。遅かったね」
「ただいま。会社寄ってきたんや、久しぶり過ぎるって言われちゃったよ。これ、シュークリーム」
「わ、ありがとう! お茶入れるね」


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ