好きなのに 3

back  next  top  Novels


 植山には腹が立つが、それ以上に、そんな植山を甘くみて、姦計にはまってしまった自分が情けない限りだ。
 沢村は山荘のエアコンをつけっぱなしにしておいたので、リビングは温かかった。
「風呂、いいか?」
 佐々木はジャケットとバッグをソファに置いた。
 どうも植山にべたつかれた記憶が払拭できずに気持ちが悪くて仕方なかった。
「あ、ああ、ゆっくりどうぞ。でも、寝ないように」
 沢村は目を合わせようとしない佐々木がバスルームに入るまで、そこに突っ立って見つめていた。
 それから沢村は近くの中華食堂から出前を取り、ピザ屋に配達を頼んだ。
 レストランでロマンチックになんてわけにはいかないだろうと、空腹を満たすことを優先したのだ。
 それだけでなく、沢村にはあまり時間がなかった。
 佐々木には、列車の方が楽だからと言い、行きも帰りも車を使わない方法を選んだのは移動が車を使う半分の時間で済むこともあるが、何より少しでも佐々木と一緒にいたいと思ったからだ。
 明日はキャンプインだが、何せ宮崎だから、羽田二〇時発福岡行きのJALがぎりぎりで、まあ、福岡で一泊して明日の朝、宮崎八時過ぎ着の便に乗れば九時にはキャンプ地に間に合うはずだ。
 そんなことを佐々木に話したら絶対、そんな無茶はやめろと言われる気がしたので、佐々木がプロ野球などの知識があまりないことを幸いに、適当にごまかしている。
 佐々木に会えるのなら、日帰りだっていとわない。
 ただでさえ佐々木と会う時間がないってのに、俺の佐々木さんをあんのクソヤロウ!


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ