好きなのに 40

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 浩輔がむきになって主張する。
 ふと、直子は良太が誰と付き合っているのか知っているのかもしれないと佐々木は思ったが、すんでのところで確かめるのをやめた。
 そんなこと確かめてどないするって?
 沢村が振られた相手が良太ではないかとは思うものの、沢村も言わないものを知ったところでどうしようもないのだ。
 沢村とは電話で言い争いをしたきりだ。

 俺に会いたくないくせに昔の奥さんには会いに行くわけ?

 やから、会いたくないなんていつ言うた!
 会いたくないわけないやろ……今かて、友香と再会したというのに、浩輔もいるというのに、結局のところ沢村のことを考えているのだ。
 心のゆくえなんて、わかれへんもんやな……
 トモ……誤解したまま、フェイドアウト、なんて展開かてないとはいえへん。
 そんなことを考えてまた漠然とした不安が頭をよぎる。
 沢村を今はまだ失いたくないのだ。
 友香のことは嫌いではないし、愛おしいと思う。
 けれどそれはまた一緒になるとか、恋人に対する思いとかとは全く別のものになったのだと、友香を抱きしめた時に佐々木は痛感した。
 どちらかというと、直子に対する感覚に近いものだ。
 浩輔にしてもそうだ。
 みんな可愛いやつら、そんな感じだ。
 自分でそんなことを思い、佐々木は思わず笑った。
「ああ、何笑ってるのよぉ、佐々木ちゃん」
「いや、あ、きたで。いっぱい食えよ。直ちゃんも浩輔も」


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