好きなのに 42

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 ブーたれる浩輔を見て、佐々木はクククと笑う。
「まあ、そうよねぇ、浩輔ちゃんもあのエリート集団の中で、仕事まかされてるんだもん、えらいえらい」
「直ちゃんにまで言われたくないよ。プラグインは人手ないからね、どうせ」
 ダメ押しする直子に、浩輔は開き直る。
「でもみんなでスキーなんて、久しぶりだよね」
「そうだね、何年前だっけ? うちの会社で上越行って以来? 楽しみぃ。そういえば、河崎さんは行かないの?」
「三浦さんとオーストラリア」
「例の清涼飲料水の仕事? 土曜日、打ち合わせ入ってる」
 佐々木はああ、と思い当たる。
「そうです。あれ、コンペで英報堂からもぎ取った仕事で、実は英報堂の担当AEさんから泣きが入ってて」
「何それ?」
 これ、美味しい、とコーヒーを飲んでいた直子が聞き返す。
「いや、英報堂さん負かしたみたいな仕事、これで三件目で。何せ、最高のデザイナーとスタッフ使ってるのに、英報堂よりかなり少ない見積もり提示するからね」
「大丈夫なの? そんなんで?」
「それが自分らの利益度外視だから、あの人たちのやること。面白い仕事ができればスタッフや社員には目一杯支払うけど、河崎さんと藤堂さんは給料なくても平気って感じだし」
 浩輔はボソボソと口にする。
「なるほどぉ……ありあまるお金を慈善事業に結構寄付してるんだもんねぇ……」
「やることが違うわけやね、エリートさんたちは」
 佐々木も感心したように頷いた。


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