好きなのに 44

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 今更、元奥さんに持っていかれるなんて、冗談じゃないからな!
「待てよ、プラグインってことは………」
 沢村は携帯で良太を呼び出した。
「俺だ。お前、スキーに行くのか? プラグインとかと一緒に」
 良太は唐突な質問に「え?」と訝しげな声を出した。
「まあ、明日の夜か土曜日行くことになってるけど」
「いつまでだって?」
「火曜日まで……って、お前、まさか」
「俺も行く。月曜の夜、場所どこだ? 定員オーバーなら、自分の山小屋に行く」
「お前、何、考えてるんだ? こないだもそうだったが、東京宮崎往復するだけでも冗談だろってのに」
 案の定、良太は声を上げる。
「今日なんか何処にも行かず、休みをイイコで過ごしたんだ。身体がなまってしょうがねんだよ」
 良太の言葉が返るまでしばし間があった。
「佐々木さんは何て言ってるんだ?」
 今度は沢村が言葉に詰まる。
「…佐々木さんは関係ないだろ。それに、キャンプに支障があるようなことはしないさ」
「俺に聞いてくること自体おかしいと思ったよ。来るなって言われたんだろ? 当然」
「キャンプ終わるまでなんて、待ってられるかよ」
 確かに沢村にしてみれば、ほぼ一カ月も会えないというのは我慢ならないというところだろうと良太は思う。
「それに、心配なんだよ。こないだのこともあるし」
「まあ、あんな輩はおいそれといないと思うけど」
「だけじゃないって。今、あの人の元妻が日本に戻ってて、その個展に行かなけりゃとか言ってたし」
「元妻? ああ、画家だっけ? わかった、千雪さんに伝えとく。かなり広いから、一人や二人増えてもOKみたいだ。住所教えとく」


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