好きなのに 47

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 浩輔の提案は佐々木にはちょっと意外だったものの、一人で行くより連れが会った方がいい。
「そりゃ、ええよ。一人じゃ寂しいと思ってたんだ」
「よかった、じゃ、良太ちゃんから連絡行くと思いますけど、よろしく!」
「おう、わかった」
 考えれてみれば良太とはプライベートではあまり話したことがない。
 そうだな、野球のこととか聞いてみるのもいいか。
 どうせ、トモのことは知っているんだし。
 浩輔の電話を切って間もなく、また携帯が鳴った。
「夜分にすみません、広瀬ですが」
 良太である。
「ああ、スキーのことやろ? 時間言ってくれたら迎えに行くよ」
「ありがとうございます。一人で車飛ばして行くのも面白くないって思ってて」
「こっちこそ、連れができて嬉しいよ」
 午後の三時に青山プロダクションまで迎えに行くということで電話を切ったが、しばらく携帯を玩びながら何となくぼんやりしていた。
 言い争いをして以来、沢村から電話はない。
「やっぱり、つき合うこと自体無理な話なんや……」
 口にしてみると、今までに味わったことのない深淵に沈んでいくような気がする。
 沢村もそんなことを思ったのかもしれない。
 こんな恋はいつ唐突に終わっても不思議はないのだ。
 羽田で一度振り返った沢村の顔が不意に脳裏に浮かぶ。
「ま、しゃあない、そん時はそん時や、寝よ!」


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