好きなのに 5

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 他人事のように佐々木は呟き、はあ、とひとつ特大の溜息をついた。
 四方を高い塀に囲まれ、高い門があるこの山荘も箱根と同様敷地が広くかなり大きいが、こちらは古い建物らしく、母方の祖父から沢村が譲り受けたものだという。
 どうやら沢村は近年亡くなった母方の祖父にひどく可愛がられていたようで、関西タイガースに籍を置いたのも、祖父が関西人だからというのもあったという。
「佐々木さん、ビールにします? それともワインがいい?」
 バスルームから佐々木が出てくるとすぐ、沢村が聞いた。
「あ、あ、ビール……」
「わかった」
 沢村はたったかキッチンに消えた。
 リビングのテーブルには、あわびや伊勢海老などの炒め物、海鮮チャーハン、ふかひれのスープなどの中華から特大のピザも二種類、一体何人前だというくらい並んでいる。
 疲労からか、ついうっかりバスローブのまま出てきたが、ちゃんと着替えてきた方がいいな、と座りかけた佐々木がソファから立ち上がったところへ、沢村が戻ってきた。
「どうかした?」
「ああ、着替えてくる」
 グラスとビールをテーブルに置くと、沢村はバスルームに戻りかけた沢村を後ろから抱きしめた。
「このままでいい」
「ちょ……離せ…って……」


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