好きなのに 50

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 呟きながら、佐々木がハンドルを切ると、青山プロダクションのビルの前に良太がスキー用具と共にぽつんと立っていた。
「よろしくお願いします~!」
 車を降りると、フードつきのキルティングジャケットにマフラーを巻いた良太が頬を赤くして元気よくスキー用具を持ち上げた。
「ああ、よろしく! お、スキーか、同士やな」
「え?」
 良太はルーフボックスにスキーを積みながら、佐々木を見た。
「いや、割とボードのが多いからな、若いヤツら」
「……若いヤツらって……、佐々木さん……、俺なんか、スキーもドへただし、ボードってガラじゃないですよ」
 ジャケットとマフラーを後ろのシートに置いて、良太は助手席に落ち着いた。
「これ、右ハンドルなんですね。俺、時々社長の車、運転させられるんですけど、どうも左ハンドルって未だに緊張して」
「こいつ、もう八年くらい? オンボロやけど、まあ、愛着もあったりしてな。新車買う余裕もないし」
「いいなぁ、俺もいつか自分の車、持ちたいです」
 にこやかに言う良太は、沢村と同じ年のはずだが、甘いマスクのせいかずっと若く見える。
「そういえば、会社の上に住んでるんだっけ?」
「ええ、社宅っていうか、社長に余ってる部屋貸してもらってて、多少寝坊してもOKだから助かってます」
 へへ…と笑う良太は、浩輔ほどベビーフェイスではないが、可愛い系だと、佐々木は思う。
「なるほど。あ、工藤さんはスキーとか行かないの?」
「今頃沖縄です。あの人、仕事中毒だから。俺も火曜まで休みもらえたから、思いっきり遊ぶぞって思ってて」
「そりゃそうや。遊ぶ時は仕事なんか忘れて目一杯遊ばないとな」


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