好きなのに 51

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 やっぱり笑顔もきれいだ、などとハンドルを握る佐々木を見つめてしまう良太の方は、佐々木と道中一緒という意外な展開に少しばかり後ろめたさを感じないではいられなかった。
 沢村が来ることを佐々木には言うなと沢村に釘を刺されている。
「高校の時同じ野球部だったやつも行くことになってて、リトルリーグからバッテリー組んでたやつなんですけど、それと女子マネだったかおりって子と」
 流れで自然と沢村の話になった。
「あいつ、クールガイとか言われてるけど、高校時代から散々マスコミに追い掛け回されてウンザリしたみたいで、取材拒否ると叩かれるしで口を聞かない作戦に出ただけなんです。ガキの頃から俺とは目が合うと突っかかってきたりして、会えば喧嘩、みたいな」
 佐々木の方も、期せずして良太の方から沢村の話をしてくれたので、気まずい思いをせずに聞いている。
「俺も一応、大学まで野球やってたし、俺の方はライバルと思ってるんですけどね、あのヤロウ、俺ごとき、鼻にも引っかけやしないってやつで!」
「でも、他の番組じゃ、インタビューするのも大変そうだけど、良太ちゃんの番組だからやろ? 沢村がよく出てるのって。ああ、直ちゃんからの情報なんだけどね」
 何となく言い訳がましくなっている気がしながら、佐々木は言った。
「いや、俺ら親しいどころかライバルってか喧嘩相手ってとこだったし、大学卒業してからは、あいつはプロで俺はしがないリーマンで世界も違うしもう会うこともないと思ってたから、図らずもスポーツ番組やることになって、沢村の出演交渉やれって言われた時は、正直OKくれるとは思わなかったんですよ」


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