好きなのに 52

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 東京外環自動車道から大泉ICで関越に入り、一〇〇キロくらいで落ち着くと、軽快にハンドルを切りながら、佐々木は良太の話に耳を傾ける。
「でもさっきも言ったように、ほとほとマスコミにウンザリしてたみたいで、懐かしかったのか、OKくれてからは、いろいろ話すようになって。ほら、あいつ、家族とあまりうまくいってないみたいだし、母方のじいちゃんだけが味方だったとか言ってるし」
「そう、いや、俺、家族の話とか知らないし……」
 そういえば、佐々木は母親のことやら話したが、沢村から家族のことはあまり聞いたことはない。
「あ、そうでしたか? あいつ、佐々木さんの前じゃカッコつけたいばっかみたいだからな。結構ガキの頃から捻くれてたし、マスコミ、ほんと嫌ってるから、キャンプからオープン戦なんか、調子が良さそうとか報道されると凡打ばっかで、クソミソに貶されたりするとガンガン柵越えやったり、ふざけたやつですよ、ほんと」
「そうなんか? 情報番組とかやと、あまり調子がよくないみたいなこと言われてたけど」
 つい、佐々木はそんなことを口にしてしまう。
「ああ、それ、気にしない方がいいですよ。あいつ、滅多にインタビュー受けないから、みんな憶測でものを言うだけで、自主トレからオープン戦まで、誰が何言おうが、綿密にマイペースなスケジュールでやってるから、尻上がりだし。あくまでもシーズンに照準合わせてるっていうか……なーんて、俺、知った風なこと言ってますね、ハハ……」
「それだけお互い信頼し合ってるってことやろ、長いつきあいやし……」
 信頼、なんかあれへんわな。俺、野球のことやなんか、何も知らんし……。
 お互い一時の感情だけでのぼせてただけで、ちょっとクールダウンする時なんかも。


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