好きなのに 54

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     ACT 5

 軽井沢に着く頃には雪はちらついていたが、天候には恵まれたようだ。
 途中で直子から、何時ごろ到着するかと聞いてきたので六時かなと伝えたのだが、五時を少し回った頃には街に入っていた。
 だが、住所をナビに入れて綾小路の別荘なるものに辿り着いたものの、まるで一つの森をぐるりとレンガ塀が囲み、どこが玄関なのだかわからない。
「とりあえず、ぐるっと一回りすればどこかにありますよ」
 良太はげんなりしながらもハハハとから笑いする。
 一番町にある綾小路の屋敷はもっと高い石塀で、やたら大きな門の内側は決して中を窺い知れない。
「でも、そういや、佐々木さんちもかなり広いですよね、生垣が延々」
「ああ、俺のうち、半分以上が野生化してるし、ほとんどあばら家。生垣もたまに庭師に来てもらう程度だから、荒れ放題」
 冗談ともつかぬことを言って佐々木は笑う。
「野生化って……」


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