好きなのに 55

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「いや、ほんま、母屋の方はそれでもたまーに、年の暮れとか手入れするからな、まだましやねんけど、俺の住んでる離れの裏って、何が出てくるかわかれへんで。猫の一家も住みついてたみたいやし。生垣なんか、入ろう思えば入れるし、猫どころか知らん人が住んどったりして」
「え、それって防犯対策した方が、犬を飼うとか?」
 佐々木の家は、確かに生垣続きの古い門があったものの、防犯カメラもなかった気がして、良太はちょっと心配になる。
「飼いたいんやけど、昔、すんげく大事にしてたワンコが亡くなってからはな。俺も仕事忙しいばっかで、いやあ、泥棒も入れへんて。盗むようなものもあれへんもん」
「またそんな……」
「そういえば、良太ちゃん、猫いたよね? 置いてきたん?」
「ああ、中二日は鈴木さんが面倒見てくれるっていうので。今日はご飯置いてきたし」
 そうこうしているうちに、これもまた立派な鉄柵門が現れた。
「ったく、別荘までバカデカいんだからなー」
 ブツブツ言いながら、良太は車を降りて、門のインターホンを押した。
 雪を被った木々の間に夕闇が降り、庭園灯が門から続く道を照らしている。
 そのずっと奥の方に建物の影や灯りが垣間見えるのだが、その全貌が見えてきたのは門が自動で開いて、車を中へ走らせてからだった。
「スキーはいいけど、なんかここんとこやたら綾小路さん絡みなんですよねぇ。正月明けには初釜とかにも工藤と一緒にお招きいただいたんですけど、ほら、錚々たる面々が並んでるし、こんなお屋敷でしゃっちょこばってるのってどうも苦手で。佐々木さんとか一緒じゃなければ遠慮してましたよ」


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