好きなのに 62

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 自分から電話を入れればいいのだが、キャンプ中は迷惑になるというのは勝手な理由で、また喧嘩になったり或いはひょっとして別れを言い渡されたりするのが怖いだけだ。
「せえけど、つきおうてんのが男、て、おかあちゃんの言うそれに恥じないようにってことからすると、やっぱ反することになるんやろな………」
 いや、範疇外?
 そういえば、浩輔のこともあったやないか。
 三年程、佐々木の妻であった友香のことを、相手の家柄がどうのと淑子は別に問題にもしなかったようだが、佐々木に求めたように友香にも同じように求めたのだ。
 友香にとってはそれは無言のプレッシャーだったのかもしれないが、友香も淑子も互いに嫌っていたようなことはない。
 結局のところ、友香が去った理由は佐々木自身にあり、今現在、佐々木のつきあっている相手は、淑子の願う、「ええご縁」とは程遠いのだ。
「おかあちゃんには悪いけど、当分、ええご縁はあれへんなぁ」
 ポツリと呟いた時、ドアがノックされた。
「佐々木ちゃん、お鍋、用意できたよぉ」
 直子である。
「今行く」
 ジャケットや荷物をクローゼットに仕舞いながら、ぐたぐたとあれこれ思い巡らしていた佐々木は、迎えに来た直子と一緒に部屋を出た。


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